美浜町は「へしこの町」HESHIKO TOWN

へしこちゃんのイラスト

福井県美浜町観光PR
キャンペーンガール
“へしこちゃん”

キーパーソンは、美浜町内の旅館や民宿の女将さんたち。
美浜のへしこは、年間約20万本生産される町の特産品です。

もともとは各家庭で作られていた「へしこ」。
1997年(平成9年)から「若狭美浜観光戦略プロジェクト事業」と題し、美浜町名物料理検討委員会を立ち上げてブランディングに乗り出しました。委員の女将さん達は、美浜の名物になる素材を掘り起こし、秋のうまいものとして「へしこ」を取り上げ、へしこ料理の開発に取り組みました。

また、その頃から女将のグループが企業化し、減塩で旨味の強いへしこづくりが始まりました。行政と委員の女将らが一緒に取り組んだプロジェクトが実を結び、県内外に「美浜のへしこ」が知られるようになりました。町では、2005年(平成17年)5月に「へしこの町」として商標登録しました。

美浜町全体で「へしこの町」を広める取り組みが始まり、『美浜・五木ひろしふるさとマラソン』など町内で開催されるイベントだけでなく、県外の物産展などでもアピールしてきました。
2007年(平成19年)12月には、農林水産省から発表された「日本の郷土料理百選」に選ばれ、さらに、2008年(平成20年)1月に「へしこ」が新たに広辞苑に収録され、へしこの人気・知名度は全国的に高まっています。

へしこの写真

美浜町の取り組み

若狭のへしこを育てる女性たち

年間約20万本が生産される美浜町の特産品「へしこ」。
「へしこ」はもともとは各家庭で作られていた保存食です。美浜町では若狭湾で獲れた魚を「へしこ」として漬けており、1年中食べられていました。冬場の漁村では時化のため出漁できない日が多く、冬季の食料として保存食である「へしこ」は重宝されたのです。

こうした位置付けであった「へしこ」が、今やこれだけ生産される町の特産品になったのには理由があります。行政と町内の旅館や民宿の女将さんらが協働し、各家庭で作られていた「へしこ」を観光資源として見直し、美浜ならではの「へしこ」を生み出すべく様々な取り組みが行われてきたのです。

福井県美浜町の概要

◯美浜町は、福井県の南西部に位置し、北は若狭湾国定公園である若狭湾に面している。

◯若狭湾はリアス式海岸特有の変化に富んだ海岸線を有し、名勝「三方五湖」「水晶浜」など豊かな自然に育まれた観光資源の宝庫である。

◯美浜町の主要産業である観光については、夏季の海水浴を中心とした日帰り観光が主体であり、1990年(平成2年)のピーク時の観光入込客数は約187万人を数えたが、海水浴離れと団体旅行の減少、観光客のニーズの変化などを要因として年々減少し、2011年(平成23年)には、約82万人まで減少。

※2019年(令和元年)の入込み数は、約93万人、2021年(令和3年)の入込み数は、約54万人までに減少。

美浜町名物料理検討委員会の立ち上げ(平成11年)

美浜町では、地域らしさを感じられる名物料理を発掘するため、1999年(平成11年)に町内8地区観光協会女性部のメンバーを中心に14名からなる「美浜町名物料理検討委員会」を立ち上げ、「うまいもん図鑑」を編集。編集にあたっては、町内の女将さんたちが、「景色」や「郷土料理」を観光の素材として見直し、美浜でしか食べられない「名物料理」を提供し誘客をはかろうと、観光資源の掘り起こしを行いました。

その結果、美浜町の「うまいもん」として、春の「あなご」や夏の「ぐじ」、冬の「ふぐ・かに・ぶり」などに加え、「へしこ」にスポットが当たりました。

観光パンフレット「うまいもん図鑑」の写真
観光パンフレット「うまいもん図鑑」
美浜町名物料理検討委員会は、美浜町名物料理PR委員会を経て、美浜町観光協会女性部(23名)として発足された

「へしこ」による町おこしの活性化

同じ頃、福井県立大学の赤羽教授が、サバのへしこは生のサバに比べアミノ酸が2.5倍、ペプチドがなんと5倍含まれており、「この成分が血圧を抑制する効果がある」と発表したことがきっかけとなり、一挙に「美浜のへしこ」が注目されるようになりました。
この研究成果が後押しとなり、美味しく健康にも良いへしこをまちづくりの柱にしようという機運が高まりました。そこで、女将さんたちを中心に、名物料理の講習会や料理発表会などを開催。数々の「へしこ料理」が開発され、町内の飲食店でも提供されるようになっていきました。

福井新聞(平成15年7月29日)の写真
福井県立大学の赤羽教授による研究成果 福井新聞(平成15年7月29日)

1999年(平成11年)から始まった「美浜町名物料理検討委員会」、行政と民宿の女将さんとの活動が10年以上続きました。町内のへしこの生産業者及び生産量は増加していき、2004年(平成16年)には、生産業者が6社だったのが倍の12社になり、サバだけでも、美浜のへしこの生産量は年間30万本ほど、約4億円規模の産業となっていきました。

1999年(平成11年)
美浜町名物料理検討委員会の立ち上げ
2003年(平成15年)
うまいもん図鑑2002年度版の完成
2005年(平成17年)
「へしこの町」として商標登録
2006年(平成18年)
福井県美浜町観光PRキャンペーガール「へしこちゃん」誕生
2015年(平成27年)
美浜へしこ組合設立
2019年(令和元年)
「美浜のへしこ」が地域団体商標登録

SHARE